【エンドロールが始まる(朝井リョウ)】あらすじと感想(ネタバレ含) 学生におすすめの本

学生で読書の本選びに迷っている人がいるなら『桐島、部活やめるってよ』他多数の著書で知られる朝井リョウさんの『少女は卒業しない』をおすすめします。かつて学生だった大人たちにももちろんおすすめですが、きっと「学生の頃にこの本に出逢いたかった」と思うはず。

別の学校との合併のため取り壊しが決まっている高校の卒業式が舞台で、7つの「さよなら」の物語に青春が詰まった一冊。ひとつひとつの物語は短編のため読みやすく、女子高生目線で綴られる文章なので女性ならば感情移入しやすいかもしれません。

この記事では7つの物語のうちのひとつめ『エンドロールが始まる』のあらすじと感想をまとめています。
先生に想いをよせる女子高生のお話です。先生という年上の存在に憧れを抱く年頃…、今学生の人も、かつて学生だった人も、綺麗で切ないこの物語に浸ってみてください。

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目次

【エンドロールが始まる(朝井リョウ)】あらすじと感想〜卒業式前夜〜

主人公の女子高生(作田)はショートヘアだった髪をある写真を一度目にしたときから一生懸命に伸ばしていた。
友達からコテの巻き方を教わったり、伸びたときのためにシュシュも準備して。

勇気と時間をたっぷりとかけて先生の好きな本を聞き出し、わざわざ家から持ってきてもらって借りた。
その本を図書室で読み続けた。何が書いてあるかよくわからないままに頑張って読み続けた。

明日は卒業式。みんなにとっては服装検査から解放される日であって、寄せ書きをする日であって、写真をいっぱい撮る日だけれど、作田にとってはもう期限を延ばすことのできない本の返却日であった。

作田の想いを考えると卒業式の日が来ないでほしいと願ってしまう。せめて本を読み終えるまでは。

一生懸命に髪を伸ばし、コテを練習し、結べる日を楽しみにシュシュを腕につけて過ごした作田の健気さ。好きな人の好きなものを知りたい、分かりたいと思う気持ちも真っ直ぐで素敵。勇気と時間をたっぷりとかけて聞き出せたときは喜びとともに安心感も感じたことだろうと思う。そして自分のためにわざわざ私物を持ってきて貸してくれるという先生の行動には特別感を感じてしまう。




【エンドロールが始まる(朝井リョウ)】あらすじと感想〜卒業式当日の朝〜

本を返したいからという理由で、40分も早く来てもらう約束をした。
学校前の大きな橋で見慣れないスーツ姿の先生と待ち合わせをして、一緒に学校へ向かう。
いつものように他愛のない会話をしていると今日が卒業式だなんて嘘みたいに感じた。

最後に図書室に入りたいです、とお願いをし、先生と図書室へ向かう。

先生の口から女子ですねえと出るたびに少し胸が痛む。いつも通りのことだけれど、いつも通り生徒として見られている、ということである。
生徒会長の名前すら興味ないといった様子の先生はきちんと作田の名前を覚えていて、いつも「作田さん」と呼ぶ。ずるい。好きな人から呼ばれる名前ってなんで他とは違く聞こえるのだろうか。

【エンドロールが始まる(朝井リョウ)】あらすじと感想〜先生に惹かれた日〜

高校二年生の3月、金曜日。友人たちと訪れた図書室で初めて先生と出会う。
東棟の書庫へ向かうため雨の中を行こうとする作田に先生は傘をさしてくれた。

書庫で先生が落とした手帳から飛び出した1枚の写真を目にする。恋人ですか?と訊ねるも返事はない。
たいせつな人がうつるその写真を見つめる先生の瞳に惹かれ、目が離せなくなっていた。薬指には指輪をしていた。
写真、指輪、瞳。先生の枠からはみ出したところにあるものをもっと見たいと思った。

好きになってしまった。

金曜日だったこと、じゃんけんに負けたこと、雨が降っていたこと、偶然が重なると必然にも感じる。
本当は用もないのに書庫に付き添ってくれたり、自分が濡れながら傘をさしてくれる優しさや大人のスマートさにきゅん。そして他の生徒たちが知らない(自分しか知らない)先生の一面は先生ではない姿であって、より魅力的に映ったはず。指輪を見て辛い思いをするとわかっていながら止められないぐらいには惹かれ始めていたのだと思う。




【エンドロールが始まる(朝井リョウ)】あらすじと感想〜卒業式当日の図書室〜

いつもの図書室は静かにしていなければいけないから、先生と寄り添うように近付いて話せる場所だった。
今日の図書室は2人きり。先生に近付く理由は本を返すしかない。
しかし本を返したらもう、先生のそばに行く理由はなくなってしまう。

カバンから本を取り出し、カウンターにいる先生のもとへ向かう。
先生は卒業アルバムの作田の写真が奥さんにそっくりだったと告げる。

カウンターを挟んで本を手渡し、ずっと前から言いたかった想いに小さくピリオドを打ちこみ、作田は伝えた。
「好きでした、先生」

作田と先生の間に流れるぎこちない空気感が最後の時間であることを感じさせる。2人が過ごした図書室での時間に想いを巡らせる。
卒業アルバムの写真が奥さんにそっくりだと言われることは、作田にとって目指していた姿になれたということ。しかし、それはあくまで先生の大切な人(本人)にはなれないことを痛感するひと言であって目頭が熱くなった。
ずっと伝えたかった想いは過去形でしか伝えられないものだけれど、口から出る言葉に反してきっと進行形の想いは胸にあったはず。繰り返しつぶやくことで一生懸命に自分に言い聞かせる姿に涙が溢れた。

【エンドロールが始まる(朝井リョウ)】まとめ

いかがでしたでしょうか?

先生だからという優しさがずるく感じられましたが、想いを寄せているそのときは幸せな時間ですよね。
自分で過去形にして伝えることでいつかキラキラした思い出に変われば…そんな綺麗で切ない物語でした。

今回は、朝井リョウさんの『少女は卒業しない』から『エンドロールがはじまる』のあらすじと感想をまとめました。
『エンドロールがはじまる』の他にも6つの短編が収録されています。
ご興味を持たれた方はぜひ手に取ってみてください。

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最後までご覧いただきありがとうございました。




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この記事を書いた人

教育関連のお仕事をしながら
自由な働き方を模索中。

大好きなホロライブやポケカ情報、
読書記録や気になるトピックを発信( *ˊᵕˋ)

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